私はこれまで、大和朝廷による国内統一の特徴として、
大がかりな軍事制圧が無かったらしい事を繰り返し
指摘して来た(『歴史から見た日本文明』平成8年刊ほか)。
その場合、考古学の岩崎卓也氏、文献史学の長山泰孝氏や小林敏男氏
らの学説に依拠していた。
らの学説に依拠していた。
近頃、それを補強する見解が示されているので、紹介しておく。
「近年、ヤマト政権を中核とする日本列島の
諸勢力の統合について、大きな問題提起がされている。
それは考古学的な立場からの分析として、
古墳時代に列島社会で大きな戦争は確認できない
という指摘である…
考古学の研究では戦争の有無を確認する指標として、
防御集落、武器、殺傷人骨、武器の副葬、武器型祭器、
戦士・戦争場面の造形などが挙げられている。
弥生時代には高地性集落や矢じりの刺さった人骨など
戦争の痕跡は多く発見されている。
ところが古墳時代になるとそのような
遺跡・遺物がなくなってくるという」
(河内春人氏『倭の五王』平成30年)。
ここで根拠とされているのは下垣仁志氏の論文
「古代国家論と戦争論』(『日本史研究』654号、平成29年)。
改めて言う迄もなく、
弥生時代から古墳時代への転換をもたらしたのは、
大和朝廷による国内の統一だ。